『黄龍の村』感想|人間関係で胃が痛い……からの予測不能な因習村ホラー【後半ネタバレあり】

ホラー

どうも、やなきちです。

今回は阪元裕吾監督の映画『黄龍の村』を鑑賞。

突然ですが皆さんは陽キャですか?陰キャですか?
私はまごうことなき陰キャで、高校時代はサッカー部という陽キャが集まるような部活に所属していたにも関わらず友達がいなくて教室の片隅で1人孤独に早弁を食う毎日を過ごしていました。

というのもこの映画はいかにもヤバそうな村へ迷い込んだ若者たちが、土地に伝わる恐ろしい風習の犠牲になる――。そんな王道の因習村ホラーで序盤が進むのですが個人的には村よりもその若者グループ内の陽キャと陰キャの噛み合わない会話による地獄のような空気感が一番怖かった、、

色んな意味でのホラーを楽しめて急なドンデン返しも味わえる至極の作品。それが『黄龍の村』です

作品情報

  • 公開:2021年
  • 監督・脚本・編集:阪元裕吾
  • 上映時間:約66分
  • レーティング:PG12
  • ジャンル:スラッシャーホラー/バイオレンスアクション

キャンプへ向かう8人の若者が、車のパンクをきっかけに「龍切村」へ迷い込む物語です。

怖さ・グロさ

怖さ:★★☆☆☆(2/5)
グロさ:★★★☆☆(3/5)

村へ到着してからの不穏さはありますが、じっとり怖がらせるホラーというより、後半のバイオレンスと勢いを楽しむタイプ。

刺殺、人肉、銃撃といった描写があるのでグロさはそれなり。ただし、傷口を執拗に見せ続けるような作品ではなく、血の量に対して後味は意外と軽め。

『黄龍の村』はPrime Videoで見放題配信中

『黄龍の村』は、現在Prime Videoのプライム会員特典で見放題配信されています。

上映時間は約66分。長編映画としては短めなので、「今日は何かサクッと観たい」という夜にもおすすめです。

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※本記事にはプロモーションが含まれています。
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冒頭のあらすじ【ネタバレ控えめ】

キャンプへ出かけた8人の若者たち。

グループは、テンション高めで騒ぎ続ける陽キャ寄りの4人と、そのノリにまったく乗れていない静かな4人に、はっきり分かれていました。

BBQを楽しんだ一行でしたが、山道で車がパンク。携帯電話もつながらないため、助けを求めて歩き始めます。

トンネルを抜けた先で見つけたのは、焚き火の前で音楽を聴き、話しかけても返事をしない村人。そして、頭に包丁が刺さった案山子。

そこへ今度は、馬に乗った妙に気さくな老人・梅宮新次郎が登場します。

車を直してやるという新次郎の厚意に甘え、一行は彼の家へ。食事や布団まで用意され、半ば押し切られるように龍切村で一晩を過ごすことになるのですが――。

陽キャと陰キャの絡みがしんどすぎる

なにより個人的に精神削られたのがコレ
冒頭の陽キャグループと陰キャグループの絡みが、まあ見事に噛み合っていない。

陰キャ側の人間としては、陽キャ組の距離の詰め方や「とりあえず盛り上がっとけばいいでしょ」感にいちいちイラッとしてしまいました。

静かにしている側へ勝手に自分を重ねてしまい、見ているだけで胃がキリキリ……。
古傷に染みる、、

ホラー映画で村に到着する前から、こんなに人間関係で消耗するとは思わなかった。

第一村人でもうアウト

そして、龍切村で遭遇する第一村人のインパクトがすごい。

焚き火の前で音楽を聴き、声をかけても完全無視。近くには包丁の刺さった案山子。

はい、ヤバい村確定。

多分、誰が見ても同じ結論にたどり着くはず。
「日本列島ダーツの旅」で第一村人がこの人だったら放送事故。

そこへ間髪入れず、馬に乗った村人が登場。こちらが第一村人を処理しきれていないうちに、新たな情報をぶち込んでくるのでツッコミが追いつかない。この辺はホラーというよりシュールなお笑い見せられているみたい。

しかも、異様なほど気さくに話しかけてくる。

この親切さがむしろ怪しく、若者グループの今後が簡単に想像できて、少しワクワクしてきました。

この時点で私は、完全に「早く陽キャたちに災難が降りかかってくれ」と願っています。
私個人の勝手な逆恨みです。

意外と世渡り上手な陽キャたち

それでも陽キャ組は、村人の親父ギャグや厚かましいほどの好意に対して、きちんと笑ってヨイショしていました。

さっきまでの振る舞いにはイライラしていたのに、こういうところを見ると「やっぱり世渡り上手なんだな」と妙に感心。

まあ、村人がいなくなった途端、かなり辛辣な愚痴を言っていましたけど。笑

愛想よく振る舞いつつ、裏ではしっかり本音を吐く。この切り替えの速さも陽キャの処世術なのかもしれません。


ここから結末までのネタバレあり

未鑑賞の方はご注意ください。

本作は途中の展開を知らない方が圧倒的に楽しめる作品です。

「村の決まり」の正体

翌朝、一行が朝食を取っていると、千代が突然、孝則の背中へ包丁を突き立てます。

銃を持った村人たちは若者たちを神社へ連行。殺した孝則の肉を焼き、「おびんたわらさま」へ捧げ始めます。

龍切村では、迷い込んだ人間を殺し、その肉を神へ捧げることが「村の決まり」だったのです。

若者たちは逃げ出しますが、村人たちの追跡によって次々と命を落としていきます。

序盤で「早く陽キャに災難が」と思っていたものの、さすがに人肉にされるところまでは願っていない。

陰キャ組の正体

全員が村人に殺されたかと思われた、そのとき。

銃で撃たれて倒れていた健人と睦夫が、何事もなかったように起き上がります。2人はあらかじめ防弾チョッキを着ており、負傷したふりをしていたのです。

実は健人、啓作、睦夫、真琴の静かな4人は、偶然この村へ迷い込んだ被害者ではありませんでした。

健人の祖母は、かつて龍切村の儀式によって殺されていました。4人はその復讐のために戦闘訓練を積み、最初から村を壊滅させるつもりでやって来ていたのです。

さらに、村人として働いていた奈穂美も睦夫と真琴の妹。彼女は事前に村へ潜入していました。

ここから映画は因習村ホラーを放り投げ、復讐者たちと村人による大乱闘へ突入します。

さっきまで陰キャだと思って感情移入していた人たちが、実は準備万端の殺戮チームだった。

胃の痛みを返してほしい。

龍切村との全面戦争

復讐チームは銃器や格闘技を駆使し、村人を次々と始末していきます。

中国拳法を使う千代には真琴と奈穂美が挑み、日本刀を操る田村とは健人と啓作が激突。それぞれ苦戦しながらも、最後は睦夫がとどめを刺します。

村長も手りゅう弾によって爆殺。

閉鎖的な村に追い詰められるホラーかと思いきや、閉鎖的な村の方が追い詰められていくという逆転が気持ちいい。

ただし、陽キャ組は何も知らないまま巻き込まれているので、復讐チームを完全なヒーローとして応援してよいのかは少し迷います。

おびんたわらさまの正体と結末

村の奥に監禁されていた「おびんたわらさま」の正体は、十兵衛という大男でした。

十兵衛は子供の頃に村へ連れてこられ、長年にわたって人肉を与えられてきた人間。解放された彼は小太郎へ食らいつき、そのまま健人たちにも襲いかかります。

村長を倒して復讐完了と思ったところに、最後の最後で一ノ瀬ワタルが物理的な圧を持って登場。

5人がかりで十兵衛を倒し、健人たちは龍切村を後にします。

その後、健人は鍛え上げた戦闘能力を生かし、悪人を懲らしめる便利屋を開始。

そして彼の助手として働いていたのが、まさかの十兵衛でした。健人が悪人を倒し、十兵衛がその死体を食べて処理するという、恐ろしくも妙に合理的なコンビが誕生して映画は幕を閉じます。

鑑賞後の感想

前半は「陽キャが因習村の餌食になるスラッシャーホラー」。

ところが後半は「復讐のために鍛えた若者たちが、因習村を物理的に壊滅させるバイオレンスアクション」。

この強引なジャンル変更こそ、本作最大の魅力でした。

冒頭では陽キャのノリに胃を痛め、村人の怪しすぎる歓迎にニヤニヤし、後半は細かいことを考える暇もなく始まる大乱闘に置いていかれる。

上映時間も短く、余計な説明を挟まず一直線に駆け抜けていくのが気持ちいい作品です。

怖さを求めると少し物足りないかもしれませんが、「普通の因習村ホラーには飽きた」という人にはおすすめ。

龍切村で一番恐ろしいものは、村の決まりでも、おびんたわらさまでもない。

復讐のためだけに青春を費やし、準備万端で村へ乗り込んできた陰キャグループだったのかもしれません。